「モンテッソーリ教育が教えてくれる”魔の2歳児”のウソ」 書き起こし

Montessori Toddler

ポッドキャスト「HEARMAMA」の「Vol.20 モンテッソーリ教育が教えてくれる”魔の2歳児”のウソ」は、皆さんよく聞いてくださっているようなので文字起こししました。


*文章として読みやすいように一部編集しています。

モンテッソーリ教育とは

今回は、モンテッソーリ教育について書かれた “The Montessori Toddler -A parent’s guide to raising a curious and responsible human being” という本を取り上げます。

2019年3月に発売された本なのでレビューの数はまだ70件ほどですが、アマゾンで5つ星中4.9と高評価を獲得しています。

モンテッソーリの教育は、1800年代後半にイタリアで一人目の女性医学者 Dr.Maria Montessori(マリア・モンテッソーリ)さんが考え出した教育法。モンテッソーリ教育がどれだけ世界で普及しているかというと、すべての大陸に学校が存在し、世界で20,000校、アメリカだけでも4,500校あるそう。

有名人では、グーグル創業者のLarry Page(ラリー・ページ)やSergey Brin(セルゲイ・ブリン)、アマゾン創業者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)などがモンテッソーリ教育を受けて育っています。

モンテッソーリ教育の目的については、こうあります。

“Montessori education is not to fill a child with facts, but to cultivate their own natural desire to learn”

子どもをファクト(事実)でいっぱいにすることではありません。子どもが生まれながらにして持つ学びへの意欲を育むことです。

幼児は「誤解された人間」

hamburger burnout

幼児は世間一般に難しい年齢だと考えられているのが現状。言うことは聞かないし、だだをこねるし、扱いにくいイメージが定着してしまっています。

Toddlers are misunderstood humans. People see toddlers as difficult. They are called “the terrible twos”. They do not listen. They keep throwing everything. They won’t sleep/eat/use the toilet. When my children were small, it didn’t feel right to get their cooperation with threats, bribes, and time-outs, yet it was difficult to find alternatives.

幼児は、誤解された人間です。人は、幼児は扱いにくいと考える”Terrible twos”(魔の2歳児)というフレーズもあるほど。言うことは聞かないし、なんでも投げる。寝る、食べる、トイレを使うという基本的なことができない。自分の子ども達がまだ小さかった頃、子どもを怖がらせたり、ご褒美でつったり、タイムアウトしたりすることで言うことを聞かせるのにはどうも抵抗がありました。でも同時に、それに代わる方法を見つけこともできませんでした。

Toddlers thrive in an environment that challenges them, they seek to be understood and they take in the world around them like sponges.

幼児は、環境にあるチャレンジによって成長し、周りからの理解を求め、周囲の世界をまるでスポンジのように吸収していきます。

なぜ幼児が可愛くて仕方がないのか

著者は、”WHY I LOVE TODDLERS”(なぜわたしは幼児が可愛くて仕方がないか)で、幼児がなぜ愛すべき存在なのかを説明しています。

幼児は常に”いま”を生きている

Toddlers live in the present moment. Walking down the street with a toddler can be a delight. While we make lists in our heads of the errands we need to run and what we need to cook for dinner, they remain present and spot the weeds growing up from a crack in the pavement. When we spend time with a toddler, they show us how to be present. 

幼児は、つねに「いま」を生きています。幼児と一緒に道を歩くのは喜びそのもの。私たちが、頭をフル回転させてやらなきゃいけないことや夜ご飯の献立を考えているあいだ、子ども達は「いま」この瞬間を生き、コンクリから顔を出した雑草を見つける。幼児と一緒にいると、いまを大切にすることを教わります。

幼児は純粋だ

Toddlers are innocent. I don’t think any toddler has a mean bone in their body. If they see someone playing with a toy, they may simply think, I’d like to play with that toy right now and take it from the other child.They may do something to get a reaction (let’s drop this cup and see my parent’s reaction) or be frustrated something didn’t go their way, But they are not mean-spirited, spiteful, or vengeful. They are simply impulsive, following their every urge.

幼児はピュアで無邪気。幼児の体には、意地悪のかけらもない。誰かがおもちゃで遊んでいたら「あのおもちゃで”いま”遊びたい」と思って、そのおもちゃをその子の手から取るかもしれません。また、リアクションを求めたり(例えば、コップを落として両親の反応を見てみようとか)、何かが思い通りにいかなくてキーッとイライラしたり。でも、幼児は意地悪でもなければ、執念深くもなく、復讐心を持たない。幼児は、衝動のおもむくままに生きているのです。

幼児は根に持つことを知らない

Toddlers do not hold grudges. Picture a toddler who wants to stay at the park when it’s time to leave. They melt down. The tantrum may even last half an hour. But once they calm down, they go back to being their cheerful, curious selves-unlike adults, who can wake up on the wrong side of bed and be cranky all day.

幼児は、根に持つことを知りません。もう帰る時間になったのに、まだ公園にいたがる子どもがいたとしましょう。思い通りにならず、駄々をこねるでしょう。それは30分続くかもしれない。でも、一度落ち着けば、もとの通り、明るくて好奇心旺盛な自分に戻ります。大人のように小さなことをいつまでも根に持ったりしないのです。


スポンジのように吸収するからこそ、親は責任重大

子どもが何事も「スポンジのように吸収する」というフレーズは聞いたことがある人も多いと思うけれど、そんな子どもの性質は、おとなにとってチャンスであると同時に大きな責任でもある、とあります。

なぜなら、

The ease with which a toddler learns gives us opportunities as well as responsibilities. Opportunities because they absorb with such ease the language around them, how we handle furniture and objects (ideally with care), how we treat others (ideally with respect and kindness), where we put things (creating order), and the beauty of the environment around them.

幼児がいろんなことをいとも簡単に学んでいく姿勢は、わたしたちにとってチャンスであるのと同時に大きな責任でもあります。チャンスなのは、彼らが耳にする言葉、物や家具などを大切に扱う様子、他者に対してリスペクトと優しさを持って接する姿勢、物の定位置(これは幼児が環境に感じる心地よさにつながる)、自分を取り囲む環境の美しさといったものをいとも簡単に吸収するから。


Responsibility because, a sponge can absorb dirty water as easily as it can clean water. A child will pick up negative experiences as easily as positive experiences. They can even pick up your feelings and attitudes, for example, when we drop something and get frustrated with ourselves (as opposed to forgiving ourselves) or if we have a fixed mindset that we are bad at drawing (as opposed to a growth mindset where we might show that we can always keep improving our skills)

と同時に責任重大なのは、スポンジというものはきれいな水と同じくらい汚い水も早く吸収してしまうため。子どもは、ネガティブな経験をポジティブな経験と同じくらい吸収します。あなたの感情や態度、例えば、何かを落としてしまってイライラしてしまったときなど(自分に対して寛大にならず)、または「自分は絵を描くのが下手だ」という思い込みを持っていること(常にうまくなる、よくなることができるんだという心持ちではなく)、ネガティブもポジティブと同じほど汲み取ってしまうのです。


幼児は”あるべき姿”を求める

幼児は、”order”(秩序、”あるべき姿”)が好きだという観察は、息子くんと接していくうえで心がけていきたいなと思ったもの。

Toddlers love order. Dr.Montessori observed a child out taking with her mother, who became very upset when her mother took off her coat. The child was upset because the “order” (how things are) changed and, when the mother replaced the coat, the child calmed down.

Dr.Montessoriが、ママと一緒に歩く子どもの姿を目にしたときのこと。途中、ママがコートを脱ぐ姿を見て子どもがすごく怒り出しました。子どもは、「あるべき姿」(決まり事?自分の期待値)が変わってしまったことに対して怒っていて、ママが再度コートを羽織ると落ち着きました。

あるべき姿を大切にする子どもにとって、親がしてあげられることは、

・子どもが次に何が起こるのかをわかるようにルーチンを大切にする
・すべてのものに定位置を決めて、そのものが定位置になるべくある状態にする

これは、新生児の頃からnight time(寝る前の)ルーチンが大切っていう話にも通ずるものがあるなと思いました。お風呂から出てきたら絵本を読んで、読み終わったらサウンドマシーンが流れ始めて、寝る時間ですよという風に。

次に何が起こるのかの流れがわかるようにしてあげることで、赤ちゃんも驚いたり戸惑ったりせずにスムーズに進んでいけるという話。ルーチンを設けることは、幼児や子どもが相手でも同じ。

子どもと接するときに大切にしたいこと

I see you!
I see you!

1. 子どもが感じる達成感を大切に
どんな遊びをするにせよ、”sense of mastery”(できた!という感覚)を育んであげるために、やっていることを最後までやり遂げられる状況にしてあげること。たとえば、パズルのワンピースがなくなってしまったなら、そのパズルごと、おもちゃの選択肢から外す。

2.言葉か動作、どちらかで説明する
自分がやってしまうので気付きだったのが、「三角は三角の穴に、四角は四角の穴に入れるんだよ」とかってついつい口で説明しながらやり方を見せてあげるけれど、話しながらじゃダメ。子どもは、聞くことに集中するのか、手の動きに集中すればいいのか混乱してしまうから。結局どちらの情報も入っていかないため。

3.子どもにクイズを出さないこと
質問にうまく答えられると嬉しそうにするから、「これ何色?」とかって質問してしまったりするけれど、質問は子どもの自信を育むのにベストな方法とは言えない、と。

We may not realize we’re doing it but we are constantly quizzing our children. “what color is this?” “How many apples am I holding?” This prompting is a kind of test for a child. And there is generally only one correct answer, so if the answer they give is wrong, we have no other option than to say “No, that flower is yellow not blue” Not exactly great for building a child’s confidence.

親は知らずのうちにやっているかもしれないけれど、私たちは常に子どもに質問しています。「これは何色?」「ママはりんごをいくつ持ってる?」などなど。こういう投げかけは、子どもにとって一種のテスト。そして、一般的にテストにはひとつしか答えがありません。

だから、子どもが間違えて答えてしまった場合、「ううん。このお花は青じゃなく黄色だよね」と正さなければいけません。子どもに自信をつけてあげるための最適なやり方とは言えないでしょう。

著者が子どもにクイズを投げかけるときは、子どもが100%答えられるとわかっていて、それを喜んで答えてくれるとわかっているときだけ。

青という色をしっかり認識できていることがわかれば、青いものがあったときに「あれは何色?」と聞いてあげればいい。3歳くらいまでに認識できるそう。

4.まずは観察しよう

これは、前回取り上げたフランスのねんね事情にも近い物があります。

Observing is seeing or perceiving without any judgement or analysis. It means being just like a video camera, which objectively records the situation and doesn’t analyze what is being seen.

観察するということは、相手を批評したり分析したりすることなく、ただ見るということ。それは、まるでビデオカメラのように、客観的に状況を記録することで、起きていることを分析したりはしません。

By observing, we are scientifically recording what we see rather than rushing to react or making any assumptions. With the information, we can respond rather than react. We see more details, we notice when something changes, and we practice taking the judgement away from what we see. It allows us to see the child with fresh eyes everyday.

まず観察することは、かけつけたりするのではなく、状況をただ記録することを意味します。観察した状況に応じて、リアクション(咄嗟的に動く)のではなく、適切に”反応”することができるのです。観察することに集中することで、細かな変化にも気がつき、子どもを批評しようとするのではなく、子どもを常に新鮮な目で見ることができます。


やたらほめるのはやめよう

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最後に、「これはやっちゃってるから気をつけよう」と思ったのが「ほめすぎない」こと。実際、周りにママ友さんとかと遊んでいても、わたしを含め、子どもが何かできるたびにめちゃほめてしまう。

著者は、1970年と80年代から、”good job!”や”good boy!”などと子どもを褒めることで自信をつける方法が定着していることを指摘。 トイレを流せても、洋服を切れても、何にでもいう決まり文句。

でも、ほめられることは子どもたちの内面から来るものではなく、外部からくるモチベーション。あまり頻繁にほめられると、ほめられることに飢えてしまうようになったり、子どもに言うことを聞かせるためのツールみたいになってしまう。

また、ほめられようほめられようと思う気持ちがプレッシャーになって、子どもがそのアクティビティそのものへの関心や楽しみを奪ってしまったり、リスクをとりにくくなってしまうといった影響も。

“Good job!”や「よくできたね!」に代わる言葉を見つける際にいい指針になるのは、「おとなに対してフィードバックをするなら、どう伝えるか」を考えること。おとなが相手なら、ただgood job!ではなく、何がgood jobなのかを伝えようとするはず。具体的なフィードバックを大切。

たとえば、描いた絵をほめる場合も、ただgood job!じゃなく、「この花の色使いがきれいだね」とか「線からはみ出ないで上手に塗れてるね」とかって褒め言葉を具体的にしてあげるといいそうです。

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