コロナウィルスによる妊婦・出産への影響【アメリカ編】

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ポッドキャスト「HEARMAMA」の最新エピソードは、「Vol.35 コロナウィルス パンデミック中に妊婦であることが意味すること」です。一部内容を追記して、ブログでも紹介します。

わたし自身が知りたくて、いま妊婦であること、出産することについて調べましたが、これは主にアメリカの情報です。対応は病院や医師、そのときのコロナウィルス・パンデミックの状況によって異なってくるものなので、あくまで参考までに読んでください。

一人でも多くの妊婦さんが、無事に元気な赤ちゃんを産めますように。

Q. 妊婦は一般の人よりコロナウィルスへの感染リスクが高いのか

決してデータは多くないものの、あるデータをもとに言えるのは「妊婦がその他の人よりコロナウィルス に感染しやすいという証拠はない」。

ただ、アメリカ疾病予防管理センターは、インフルエンザやSARSなどの呼吸器疾患をもとに「妊娠中にコロナウィルス にかかると、呼吸疾患がより深刻化することで肺炎などになりやすい。この理由は、妊婦はすでに心拍数が増加しており、肺機能も低下しており、とある先生は”不注意な免疫システム”を持っているから」と述べている。(Propublica

As opposed to Influenza A(H1N1)pdm09, pregnant women do not appear to be at higher risk of severe disease. In an investigation of 147 pregnant women (64 confirmed, 82 suspected and 1 asymptomatic), 8% had severe disease and 1% were critical.

インフルエンザ A(H1N1)pdm09 とは対照的に、妊婦に重症化のリスクは見られない。147人(陽性反応64人、感染疑い82人、1人無症候性)の妊婦を調べたところ、そのうち8%が重症で1%が生命の危機的状態だった。(WHO(世界保険機関)

Q.ママがコロナウィルス に感染していた場合、体内で赤ちゃんにも感染する?

これまでのところ、羊水、臍帯血(さいたいけつ)、胎盤組織、また母乳からウィルスが検出された例はなく、母体から胎児への感染はないと言われている。新生児がコロナウィルス に感染したケースが2件報告されているが、どちらも他の人と同様、生まれてから飛沫(ひまつ)によって感染したと見られる。(Propublica

現状はまだデータが少なく、確たる回答を出しにくいものの、いくつかの事例がある。これらの妊婦は、ほぼ全員妊娠後期に入ってからコロナウィルスに感染している。

コロナウィルス に感染した9人の妊婦(症状あり)の赤ちゃんはコロナウィルス に感染していなかった。
コロナウィルス に感染した38人の女性を調べたところ、陽性反応だった赤ちゃんは一人もいなかった。(Harvard Health Publishing

Few cases of COVID-19 have been reported in newborns, and the majority of pregnant women with COVID-19 who have been studied have given birth to healthy babies. 

新生児のコロナウィルス感染の事例は少数で、コロナウィルスに感染した妊婦の大半は健康な赤ちゃんを産んでいる。(UCSF Health

Q.妊娠経過の検診は通常通り行われる?

病院やクリニックで物理的に検診が行われる場合、所要時間は普段より短くなることが想定される。特にローリスクの妊婦の場合、一部の検診が電話やテレビ電話に変更されることがある。また、検診時に友達やパートナーなどの付き添いを禁止するところが増えている。(Propublica

テレビ電話での検診が行われる場合は、血圧測定器(手首ではなく腕にまくタイプ)や体重計が自宅にあると医師に数値を伝えられるため良い。医師から、胎児が健康で元気であることを確かめるための胎動のカウントの仕方を教わるはず。(UCSF Health)。

わたしは、通常の産婦人科の先生と高齢出産の専門家の2名の先生に診てもらっていますが、前者はこれまでと変わらず(クリニックでマスク着用が必要なくらい)。高齢出産の専門家の先生は、同伴者は禁止です。待合室に入る前に体温と血圧を測り、患者の予約の間隔を普段より開けることで待合室などに複数人が集まる機会を減らす工夫がされています。

Q.妊娠経過の検診の頻度は?

妊娠初期なら、本来4週間に1回の検診が6週間に1回になるなど、頻度の調整があるかもしれない。妊娠後期、たとえば妊娠9ヶ月くらいの女性は、本来なら毎週産婦人科に行くはずだが、この期間に関しても対面での検診は減る可能性がある。

一番大事な超音波検診は、妊娠初期(11週〜13 1/2週)の遺伝的異常を確認するスクリーニングと、妊娠中期(18週〜22週)の胎児の全身を検査するスキャン。これはあくまでローリスクの妊婦の場合だが、上記を除いた超音波検診の多くは絶対必要なものではないため、検診の(特に対面での)頻度は減る可能性がある。

同じ妊婦でも、高血圧や糖尿病を患っているといった場合はハイリスクに該当するため、その場合、検診の大半は対面で行われるだろう。(Propublica

Q.出産方法は選べるの?

アメリカで産む場合の出産方法は、出ている症状や医師や病院などによって判断される。

産婦人科の医師たちのあいだでは、「39週に入った妊婦にかんして、誘発剤を使ってお産へ導くべきか」という議論が盛ん。産むタイミングがわかることで必要なリソースを想定しやすいため。またこれはニューヨークに限った話だが、コロナウィルス前なら普通分娩だったであろう妊婦が帝王切開で産むようなケースもある。(Propublica

実際、今まさに出産を迎えようとしている知り合いの妊婦さん(39週に突入したばかり)も、「このまま赤ちゃんが出てきてくれないと、誘発剤でお産を早めることになっちゃう」とつぶやいていました。

Q.コロナウィルスに感染している妊婦の出産方法は?

あくまで中国における事例だが、コロナウィルスの陽性反応が出た妊婦全員が帝王切開で産んでいる。ただ、そもそも中国はアメリカに比べて帝王切開で産むことが多い。

アメリカでは、助産師を家に招き入れて自宅で産むことを希望する妊婦が増えている。病院のリソースがコロナウィルス対応に奪われることで、予定していた病院で産めないといった自体が起こり得るため。また、病院に行くより感染リスクが低いことも理由。(Propublica

Q.母親がコロナウィルスに感染していた場合、出産後の赤ちゃんとの接触は?

アメリカ疾病予防管理センターは、「コロナウィルスの感染が疑われる場合、赤ちゃんが生まれてから14日間はママと隔離された状態にあるべき」だとしている。別々の部屋が望ましいが、それが難しい場合はカーテンでしきり6フィート(約 1.8メートル)の距離を保つ。

もし、コロナウィルスの検査結果が陰性だった場合は、すぐにでも赤ちゃんに会える。ただ、この辺のルールや対応は病院ごとに異なる。(Propublica

Q.母親がコロナウィルス に感染していた場合、母乳育児はできるの?

母乳からの感染は確認されていないため、引き続き母乳育児が推奨されている。直接あげる場合は母親はシャワーなどを浴びて清潔にし、マスクなどをつけた状態で授乳する。なかには、搾乳することをすすめる病院もあるだろう。

陽性だった母親が陰性になるまでは、新生児の主なケアは家族などに任せることが推奨されている。(Propublica

Q.出産時と出産後のパートナーの付き添いや家族の面会は?

ニューヨークのようなコロナウィルスのダメージが特に大きい地域では、出産時の立ち合いを一人に限定している病院が多い。そのため、妊婦は本来出産に立ち会えるはずのDoula(出産のサポートを行う専門家)とパートナーのどちらかを選ぶといった状況が発生している。当然、立ち合い人は健康(コロナウィルスへの感染疑いがない)である必要がある。

アメリカのその他の地域では、1〜2人の訪問者が許される。ただ、訪問者は病院を気軽に出入りすることは禁止されていることが多く、一度病院に足を踏み入れたら帰宅までそのまま病院内で過ごすことを余儀なくされる。

出産後の面会(パートナーなど選んだ一人以外)を一切禁じる病院が増えている。(Propublica

Q.産後のケアはどう変わる?

産後のケアはいつもより短く、素っ気なく感じられるかもしれない。病院にいることで医療リソースを使ってしまうこともそうだが、病院はコロナウィルスの感染リスクが高い場所でもあるため、誰もができるだけ早く退院できることが最優先される。(Propublica

Q.病院で時間を過ごすことで、コロナウィルスに感染してしまわないか心配

病院のスタッフと産婦人科チームは、病院を訪れる人の数を最小限にとどめる努力をしている。コロナウィルスの感染が疑われる人は、その他の患者と隔離するようルールが設けられている。

In the hospital, many precautions are being taken to minimize exposure risks. If you choose to do so, it may be possible to go home sooner than you normally would after birth, as long as you feel well and your birth was uncomplicated. Talk to your obstetric team about this.

病院内では、コロナウィルス への感染リスクを最小限におさえるよう、最新の注意が払われている。母親の体調が良く、また出産がスムーズだった場合、希望すれば出産後、通常より早く帰宅することが可能かもしれない。医師に相談するといい。(Harvard Health Publishing

Q.コロナウィルスの対応で出産予定だった病院に空きがない場合は?

病院には、医療人員を再配置するような緊急事態における対策をあらかじめ練っておく責任がある。産婦人科チームに、緊急事態の対策について確認しておくこと。当病院では、現在のところ、産婦人科の医療スタッフを再配置する予定はない。産婦人科は、健康に欠かせない必要な要素だからだ。(Harvard Health Publishing

以上です。録音後記以外は内容がかぶりますが、”ながら聞き”ができるのでポッドキャストも聞いてみてください。

Vol.35 コロナウィルス パンデミック中に妊婦であることが意味すること

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