*以下は、ポッドキャスト「HEARMAMA」のVol.53の内容を文字起こしした内容です。テキストで読みやすいように一部変更を加えています。
*オープニングトークと録音後記は文字起こししていません。
さて、ここから今回のエピソードのメインテーマに入ります。一般的に離乳食を始めるのは生後6ヶ月頃で、次男くんは年明けにちょうど6ヶ月になるので、そろそろ準備し始めなきゃと思っていて、いま少しずつ調べ始めた感じです。
先に進む前に一言断っておくと、母乳 vs. ミルクの議論と同じで、”you do you “、ママ一人一人が自分と赤ちゃんにとってベストなやり方を選ぶのが一番だと思ってるので、決してbaby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)でなきゃとかって話ではないです。あくまで今回わたしは次男くんをbaby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)で進めてみるよというだけ。
うちの場合、長男は10倍粥から始める従来の離乳食だったし。日本の離乳食の本を買ってきて教科書通りに進めた感じ。その経験もあって、違うやり方に興味があるってのもあるかな。
従来の方法で離乳食を進めますっていう人は、まるまる参考にするというより、随所随所で役に立つ部分、取り入れられる部分があると思うので、参考程度に聞いてもらえると嬉しいです。
でもね、今回調べていてわかったのは、けっこうやり方が柔軟だったり、最初はスプーンで初めて、徐々に赤ちゃんが手掴みで食べるbaby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)に移行するみたいな方法もありみたいで柔軟性があることがわかってきました。
Baby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)について
Baby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)は何かというと、加工されていない、自然なままの食材をあげる離乳食の方法で、味とかテクスチャー、形状などがバラエティに富んだ食事をあげることで、赤ちゃんに食の楽しみ方を教えてあげる離乳食の進め方です。
Baby-led weaningという言葉の意味は、“led”というのは”lead”の過去形で、”weaning”は離乳を意味する言葉。Baby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)で、”赤ちゃんが導く離乳”というイメージ。私自身は、2018年の秋頃に、当時参加していた親子参加クラスで存在を初めて知ったんだけど、当時周囲のママ友さんたちはけっこうbaby-led weaningを選んでる人たちが多かったです。
Baby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)は赤ちゃんの自立性を大事にするので、ピューレをお母さんがスプーンを口に運んで食べさせてあげるんじゃなく、赤ちゃんが自分で選べるように複数選択肢を与えて、自分で食べ物を掴んで口に運んでいくっていうことをさせてあげます。
もちろん最初は上手に食べられなくて、ほんの少量しか口に入っていかないけれど、というか顔に塗りたくるみたいな状況なんだけど、早いうちからいろんな食材に触れて練習をかさねることで上手になっていく。
好き嫌いに苦労した創業者の経験をもとに立ち上げたサイト
英語でBaby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)と検索するとたくさん情報が出てくるんだけれど、わたしは前にブログでも紹介したSolid Startsというウェブサイトを特に参考にしています。サイトとインスタグラムがあって、よく母乳育児、栄養士、アレルギーとか専門家を招いたライブ配信をやっているのも参考になる。あと、ありとあらゆる食材のデータベースもあってbaby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)よりの離乳食の包括的なサイトです。
創業者の女性はジェニーって言うんだけれど、4歳になる息子さんとその下に2歳過ぎかな、の双子ちゃんがいる3人のママです。彼女自身が、上のお兄ちゃんの離乳食にてこずって、1歳になったときに何も食べなくなったんだって。バナナとフライドポテトは食べるとかじゃなく、一切食べなくなった。たぶん、母乳か粉ミルクメインに戻っちゃったってことだと思うけど。で、すごく苦労したこともあって、baby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)に目覚めたと言う経緯があるらしいです。
うちの長男は、ここまで極端じゃないけど似たような感じで、野菜を調理の方法にかかわらず、形のまま食べることはほとんどなくて、結果的に細かく刻んだ野菜パンケーキとかチャーハンに入れたりって形で食べさせているので、要はpicky eater(食べ物を選り好みする、好き嫌いが激しい)になってしまったわけで、次男くんにはいろいろ食べて好きになってほしいし、それが長男くんにもいい影響になるんじゃないかなと淡い期待を抱いていたりもします。
Solid Startsには、Baby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)についてこんな風にあります。
Babies were born to eat. Around 6 months of age, most babies are able to feed themselves soft finger foods—even if they have no teeth. By offering finger food first, you enable your baby to set the pace, to practice critical skills, and to discover the joy of eating.
赤ちゃんは食べるために生まれてきました。6ヶ月頃になると、多くの赤ちゃんは歯が生えていなくても、やわらかいフィンガーフードを自分で食べることができます。最初にフィンガーフードを与えることで、赤ちゃんのペースを定め、必要不可欠なスキルを練習する機会を与え、食を楽しむことを発見します。
Numerous studies have shown that the more variety of tastes, textures, colors, and mouth feels a baby is exposed to, the more likely those children are to accept new foods later on. Further, research studies have shown that babies fed diets of bland, textureless foods are more likely to prefer these foods later on.
さまざまな研究や調査によって、赤ちゃんがより多くの味、テクスチャー、色、食感に触れれば触れるほど、後に新しい食べ物を受け入れる可能性が高いことがわかっています。さらに、研究から風味の乏しい、テクスチャーに欠けた食べ物を食べて育った赤ちゃんは、大きくなってからもそうした食品を好む確率が高いことがわかっています。
Baby-led weaningの歴史
そもそも、おかゆとかピューレとかをスプーンで親が食べさせてあげるという広く普及している離乳食の方法を知っていると、Baby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)は新しい方法なのかと思うけれど、どちらかというと、便利な市販のベビーフードが誕生する前に戻る感じ。
History of baby foodというSolid Startsの記事を参照すると、
アメリカでメジャーなベビーフードのブランドといえば、Gerber(ガーバー)があるけれど、ガーバーが誕生したのは1933年のこと。それまで家でママが離乳食をつくっていたけれど、これは便利だっていうので広まって、ガーバーは他の缶詰食品を捨ててベビーフードに賭けたそうです。
最初は新しいことをしているので半信半疑の親とか小児科医とかもいて、大々的な広告キャンペーンを打つことで彼らを説得していった。市販のベビーフードのほうが家でつくるより栄養価も高いし、安全ですよって。小児科医に無料でガーバーのベビーフードを提供したりすることで、徐々に市販のベビーフードが定着していったそうです。
1880年代には11ヶ月頃にあげていたのに、一時は生後三ヶ月で与えるようになって、1950年代には生後6週間で市販のベビーフードがあげられるようになっていった。
つまり、ピューレから食べさせるのが離乳食の進め方みたいな現代の常識は、ガーバーみたいなブランドの策略による部分が大きい。だからピューレとかサラサラの形状のものからあげていく離乳食がオンリーワンな方法だと思ってるとbaby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)は斬新に聞こえるけど、そうじゃないんだなってことが今回わかりました。
なんでもよく食べる子を育むには
ここからは、Solid Startsの10 ways to prevent (or reverse) picky eatingという記事を紹介します。本当は、インスタグラムのライブ配信で学んだことを箇条書きにして紹介しようと思ったけれど、この内容のほうがどんな離乳食の進め方をしている人にも役立つかなと思って。
冒頭でジェニー自身がやってしまっていたpicky eaterを生み出す間違いについて触れてるんだけど、たとえば、赤ちゃんの食のニーズにすべて応える、食べてくれないと感情的になる、とにかく一口食べてくれるように何でもした。これによってpicky eaterをつくちゃってた・・・これは私もすごく耳が痛い。まったく同じ。で、今もまだSolid Startsを栄養士とかせっしょく療法士とか、自動心理学者なんかと一緒につくっているなかで学んだこと。それは、
My biggest learning? It’s much easier to prevent picky eating than it is to address it once it’s taken root.
わたしが学んだ最大の教訓は、食の選り好みはそれが始まってから対処するより、それを防ぐことがずっと簡単だということ
では、ここからpicky eaterを防ぐため、またはそれをundo(やり直す、取り消す)ためにできること。
- Foster independent eating.
赤ちゃんに自分に食べさせる
生まれつき食べ方はわかってる。いまだに親がスプーンで食べさせているなら、それをやめて9ヶ月までにさまざまなフィンガーフードを100%自分で食べることを目指す - Get messy.
汚れを気にしない
赤ちゃんが自分で食べるとすごく散らかるけれど、食事中に顔や手を吹くのはやめて。こまめにきれいにされた子どもは食べ物が汚いものだという印象を持ったり、食べ物が手や顔につくことを嫌がるようになってしまう - Set an eating schedule and stick to it.
食事のスケジュールを決めて、それを守る
食事がスナックや母乳・粉ミルクをあげた直後でないように。お腹が空いていないと食べない、当たり前だけど。 - Empower with choice:
選択肢を与える。
4-6w種類の食べ物を出す。タンパク質、野菜、穀物、果物とか。時間帯も同じ。4-6種類のうち、2種類は必ず食べる”safety food”にすること - Check your emotions at the table.
食事の前に自分の気持ちを確認する。
子どもが食べることを拒否したら、大事のようにリアクションしたりプレッシャーをかけたりしないこと。同様に食べたからといって手を叩いて喜ぶこともしない。そうすることで、物事をコントロールする手段にしてしまう。子どもがご飯を拒否したら、もう1分ほど待ってみて、笑顔で食事を下げて”わかった、もうおしまいね”とだけ伝える。ただし、食べ物の選択肢は同時に与えること。あるものを食べなかったから次のものを出すとせずに。 - Introduce new foods each week.
毎週新しい食材を出す。
慣れ親しんだ食材で、バナナやスイートポテトなど同じものの繰り返しにしないように。慣れた食材と一緒に、テクスチャーがさまざまな新しい食材を出し続けること。最初に出したときに手を出さなくても、何度も出し続ける。食材を何度もみて初めて食べてみようとなる赤ちゃんもいる。 - Eat with your child.
子どもと一緒に食べる。
ほんの少しでもいいから、できるだけ子どもが食べているのと同じものを食べる - Make meals fun, but keep it about the food
食事を楽しいものに、でもあくまで主役は食べ物に。
気を散らすことで食べるのはあるべき姿ではない。食べたいから食べる、以上でいいはず。子どもと一緒に席について、目の前の食べ物について語りかける。このいちごは本当に甘いね!とか。本とか音楽、テレビなんかを使って食べさせようとするのは今すぐやめよう。 - Long game
長期戦でのぞもう
今の食事をなんとか食べさせようと言う短期戦ではなく、長期戦で望むこと。テレビや本、ご褒美を使えばその時は食べてくれるかもしれないけれど、子どもが選り好みせずに自分で食べるようになるという目的の邪魔をする - Above all, feign indifference.
何よりも、無関心を装う
食べてくれなくて泣きたい気持ちになったり、叫びたくなってもそれを表には決して出さない。子どもがコントロールできるのは食べ物だけ。食べ物を、あなたをコントロールするための道具にしないこと。
めちゃ参考になった。次男くんの離乳食を進めていく際に、同じものを長男くんにも出したりして少しずついろんなものを食べてくれるようになるといいな・・。
最初のうちはピューレと両方あげてもOK
Solid Startsの食材のデータベースを見るとわかるけど、同じ食材でも上げ方はいろいろあるので、ピューレ上にしたものもあげてる。実際、ジェニーは娘ちゃんにはアボカドをあげたんだけど、それをマッシュしたピューレ状のものとスティック上で娘ちゃんが自分でモテるようなものの2種類を同時にあげたそうです。だから、わたしが思っていたより柔軟性がある感じ。
最初のうち不安なら、最初2ヶ月はスプーンであげてもいいんだって。スプーンで食べさせてあげること自体がNGなんじゃなく、prolonged spoon feeding、スプーンで食べさせる期間が長引いてしまうことが良くない。一方的に食べさせられていると自主性を育めなくて、赤ちゃんは口を開けて待つ感じになってしまう。
ただ、スプーンで食べさせてあげる場合も、親がスプーンを口に運んで食べさせるのではなく、スプーンに食べ物を乗せて、それを自分で口に持っていくように仕向けるようにする。赤ちゃんが自分でやってるっていう感覚があるように。こういうのはSolid Startsのウェブサイトあとインスタグラムを見ると動画とか写真になってるので見てみてください。
オエっとなる防御反応が強い6〜9ヶ月のうちに
Jennyが専門家とやっているインスタグラムのライブ配信をみていて、へーと思ったのが、いろんな食材、テクスチャーとか舌触りのものをあげるのが大切な理由のひとつは、oral mapping、赤ちゃんが口のなかの地図を描くために必要なんだって。食材が口のあちこちに触れることで口のなかってこんな感じなのねってのを理解していく。
あと、ブログにも書いたけれど、赤ちゃんがおえってなるのが怖くて長男のときはおかゆとかピューレにしたのもあって、ただ、おえっていうのは喉につまらないようにするために備わってる防御反応らしい。
英語でgag refluxっていうんだけれど、でもこのgag refluxが強いからこそ、喉につまる手前で出すことができる。このgag refluxが強いのは6-9ヶ月だから、逆にこの時期に食べ物を与えるのは大きくなってから与えるよりも安全。9ヶ月を過ぎると舌で食べ物を押し出そうとする反応が弱まるから。
あと最後に、これはインスタのライブ配信でjennyが言ってたティップス。ご飯の時間に椅子に長く座ってられないっていう人のためのアドバイスでほおと思ったんだけど、椅子に座らせるだけじゃなく、足をおける場所を用意してあげる。これは、バーカウンターのスツール席に座っていることを想像すると、足がブラブラしている状態だとたしかに長く座ってられないというか、心地よくはないから。
ということで、今回はBaby-led weaning(ベビーレッドウィーニング)についてお伝えしました。
次男くんは2021年頭に6ヶ月になるんだけど、1月頭に6ヶ月検診があってその際に先生に食事に関する質問とかがあればしたいので、12月後半には始めるかもです。
これから離乳食を始めるという方は、一緒に頑張りましょう(笑)。
【参考リンク】
・Solid Starts
・ポッドキャスト Montessori Education